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糖尿病感者と予備軍を合わせると1370万人
 1997年に行われた厚生省の糖尿病実態調査によると、糖尿病が強く疑われる人(糖尿病患者。現在治療中の人を含む)は690万人、 糖尿病の可能性を否定できない人(いわゆる糖尿病予備軍)は680万人いると想定されています。これらを合わせると、なんと1370万人という膨大な数字が はじき出されています。

 年代別に見ると、糖尿病の患者は男女共に40歳代から急激に増え始め、男性では60歳代の17.3%、女性では70歳代の15%が最も多くなっています。 調査結果によれば、40歳以上の10人に1人は糖尿病という計算になります。

 これだけ多くの人が糖尿病とされているにもかかわらず、調査によると、糖尿病の治療をしている人は半数以下。というのも、 大部分の糖尿病は自覚症状がほとんどないまま進行するため、糖尿病だという自覚がなかったり、 糖尿病だと知っていても放置している人が多いためです。

 糖尿病が、なぜこんなに増えてしまったのでしょうか。

 糖尿病の発生には、糖尿病になりやすい体質と食生活や運動不足などの生活習慣が深く関わっていると考えられています。 糖尿病になりやすい体質持っている人は、日本人の3割もいると考えられています。しかも、この体質は残念ながら遺伝するものなのです。両親や兄弟、おじ、おば、いとこに糖尿病の人がいる場合は、糖尿病になりやすい体質を受け継いでいると覚悟した方が良さそうです。


早食い、過食による血糖値上昇が糖尿病の始まり
図:血糖値上昇のしくみ 糖尿病になりやすい体質に、発生因子が加わると、糖尿病にかかりやすくなります。その中でも最も問題とされるのが、過食でしょう。
 現代人は、消化の良い食品を多く摂取する傾向があります。子供のおやつの変化を見てもわかります。昔はおやつの定番だった堅焼きのおせんべいは姿を消し、人気のあるのはケーキやホットケーキ、プリンなど、口の中ですぐに溶けるようなやわらかい菓子ばかり。「固い食べ物は?」と聞くと「豆腐」と答える小学生が実際にいるという、笑えない話もあります。

 このような食生活の変化が、「過食」の原因になっています。やわらかい食品はあまり噛まなくても飲み込むことができるため、どうしても早食いになりやすいのです。また、忙しい現代人はゆっくりと食時の時間をとれないということもあるでしょう。早食いをすると、満腹だと感じる前に食べ過ぎてしまうことになります。
 食事をすると、ご飯やめん類、砂糖などの糖質は消化器官内でブドウ糖にまで分解され、吸収されて血糖値が上昇します。この時、膵臓からはインスリンというホルモンが分泌され、血糖値中のブドウ糖を筋肉や脂肪組織に取り込んで、血糖値を下げます。

 健康な人が、適度な量をゆっくりと食べていれば、この作用は正常に行われています。ところが、食べ過ぎたり早食いをすると、血糖値は食後急激に上昇するため、膵臓からはインスリンが大量に分泌されてしまいます。このようなインスリンの大量分泌がくり返されると、膵臓が疲れてしまい、分泌能力が低下します。その上、過食による肥満が加わると、インスリンの血糖値を下げる効果も低下します。そのため、血糖値がなかなか下がらなくなり、これが糖尿病の始まりとなるのです。

 食事にかける時間が3食とも15分以内というあなたは、明らかに早食いタイプ。食事中は食事を楽しんだり、意識的に良く噛むなど、ゆっくり食べる工夫が必要です。


糖尿病は重大な合併症を併発する
 糖尿病が恐れられているのは、進行するとその先に合併症が待っているから。糖尿病の3大合併症といわれているのが、網膜症、腎症、神経障害です。
 糖尿病性網膜症は、目の網膜の欠陥が侵される病気で、失明に至ることも珍しくありません。糖尿病性腎症は腎臓の血管に異常が起り、腎臓機能障害を起こし、最終的には腎不全になって、人口透析や腎移植を受けることになります。
 神経障害は神経が侵され、手足のしびれや感覚異常、立ちくらみ、下痢、便秘、発汗異常などの症状が表れるもの。ひどくなると、感覚が麻痺して痛みや熱さを感じなくなり、皮膚が傷をうけても治りにくくなります。そうすると、皮膚組織が腐ってしまう壊疽(えそ)という状態まで進んでしまうことさえあるのです。

 3大合併症以外にも、糖尿病になると高血圧や高脂血症、歯周病などの生活習慣病を合併しやすくなることがわかってきました。
 実際に、糖尿病の患者の中には高脂血症を併発している人が多いことが知られており、高血圧になる確率も、糖尿病でない人に比べると3倍に跳ね上がることがわかっています。
 そして最近は、糖尿病(高血糖)、高血圧、高脂血症などが重なると、動脈硬化を招く危険が高くなることが注目されています。動脈硬化が進行すると、動脈が詰まって深刻な状態に至ることがあります。心臓の冠動脈が詰まると、心筋梗塞や狭心症、脳の動脈が詰まると脳硬塞を引き起こすのです。

 糖尿病は、このように、進行してしまうと恐ろしい合併症が待っていますから、何よりも早期発見が大切です。ところが、多くの場合、自覚症状がないまま症状は進んでしまいます。糖尿病の代表的な症状である多尿、のどの渇きなどの症状が出て、「おかしい」と気づいたときには、あなたはすでに立派な糖尿病。もしくは恐ろしい合併症状が併発してしまっていることすらあります。ですから、定期的に血糖値をチェックして、ふだんから血糖値を上げないような生活を心がけることが大切なのです。


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